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小林公認会計士事務所

会計用語の解説CONTACT US

(新聞記事などから、話題の会計用語について解説してみます)


     

繰り延べ税金資産

「税効果会計に係る会計基準」より、貸借対照表上の資産及び負債の金額と、課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額を「一時差異」といいます。   
「一時差異」等に係る税金の額は、将来の会計期間で回収又は支払が見込まれる税金の額について、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上する必要があります。      
このため、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算され、税率の変更があった場合(改正税法の成立日)には、再計算がなされます。      

減税のときは損失(法人税等調整額(借方))となります。      

繰延税金資産については将来の回収の見込みについて毎期見直しが必要です。      
「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(公認会計士協会)では、会社の過去の業績等の状況を主たる判断基準として、      
将来年度の課税所得の見積額による回収可能性の判断指針が示されています。      

具体的には、将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上する会社等は、繰延税金資産の全額について回収可能性があると判断できるとし、      
それ以外の会社は、一時差異等のスケジューリングが必要とされており、特に、過去の業績が不安定な会社の場合、将来の合理的な見積可能期間      
(おおむね5年)内の見積額が限度とされていたり、重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社などは翌期を限度、      
あるいは回収可能性が認められない会社もあります。
現在、企業会計基準委員会(ASBJ)で見直しの検討が始まっています。

     

デリバティブ

以下の特徴を有する金融商品のことをいいます(金融商品実務指針6項)
1.参照資産の変化に反応する基礎数値、かつ想定元本などを有する契約
2.当初純投資が不要かほとんど必要としない
3.純額(差金)決済を要求または容認するなど
ヘッジ会計が適用される場合を除き、時価評価することになります

外貨建取引

売買価額その他取引価額が外国通貨で表示されている取引を外貨建取引といいます(外貨建取引等会計処理基準注解 注1)
・外貨建自社発行社のうち、転換社債は発行時の為替相場
・子会社株式および関連会社株式は取得時の為替相場
・これら以外は決算時の為替相場で換算します(ヘッジ会計を適用した場合を除く)

在外支店の財務諸表項目も上記と同様ですが、収益及び費用(資産(負債)の費用(収益)化額をのぞく)
を期中平均相場で換算できます。

在外子会社等の財務諸表項目は、次のとおりです。
・資産及び負債は決算時の為替相場
・親会社が株式取得時の資本項目は当該取得時の為替相場、その後は発生時の為替相場
・収益及び費用は、原則、期中平均為替相場、ただし、決算時の為替相場も認められます
・換算によって生じた差額は、為替換算調整勘定として純資産へ計上します(下記参照)

(外貨建取引等会計処理基準一2、二、三)

為替換算調整勘定

外貨建取引等会計処理基準とその実務指針では、在外子会社等の外国通貨で表示される財務諸表項目の換算は、以下のとおりとされています。   
・資産及び負債は決算時の為替相場      
・親会社が株式取得時の資本項目は当該取得時の為替相場、その後は発生時の為替相場   
・収益及び費用は、原則、期中平均為替相場、ただし、決算時の為替相場も妨げない           
     
資産・負債の換算相場と、純資産項目の換算相場が異なります。      
この換算差額については、「為替換算調整勘定」として、純資産へ追加計上することになります。      
このため、在外子会社等へ出資した時の為替相場に比べて円安になっていれば、   
連結BSの純資産へプラスの影響を及ぼし、円高になった場合は、連結BSの純資産へマイナスの影響を及ぼすことになります。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)

金融機関の間で信用リスクのヘッジなどを目的として実施されている取引契約です。
買手は売手にプレミアム(保証料)を毎期支払いますが、参照先の企業がデフォルトなどした場合、
売手が買手へ一定金額の支払いがなされることにより、保証が実行されます
通常、会計上のデリバティブの定義を満たすため、時価で計上し、時価の変動が損益となります。
金融機関の間では、参照先の信用リスクの水準に応じて取引条件が決まっていくため、
このような市場で成立した条件を基礎データとして、時価評価がなされます(上記のデリバティブの定義を満たす取引契約であることが前提です)

国際会計基準(IFRS) 任意適用

米国ではIFRSによる上場等(SEC登録)が外国企業(日本企業など)に認められたことなどから、
2009年、日本においても、一定の要件(一定規模の海外子会社の存在など)を前提に、四半期報告書や
有価証券報告書において、連結財務諸表上、IFRSの任意適用が認められています。

なお、日本の会計基準とIFRSの差異の重要度は各企業によって異なりますが、IFRSでは、
のれんの償却不要や、繰延税金資産の回収可能性など、日本基準と異なる扱いがあります。

その後、企業会計審議会(金融庁の諮問機関)において、任意適用の要件緩和の方向性が
公表されたため、今後、海外子会社がなくとも、非上場会社でも、IFRSに基づく連結財務諸表の作成(任意適用)が可能となりました。

M&Aに関する会計基準 企業会計基準委員会 

M&Aに関する会計基準とは、具体的には「企業結合に関する会計基準」とその適用指針、
「連結財務諸表に関する会計基準」など、企業会計基準委員会が公表している、組織再編に関連した
会計基準のことを指します。
これらは、上場企業や大会社のように、中小企業以外の会社が財務諸表を作成する際に適用する会計基準です。
IFRS(国際会計基準)や米国会計基準における規定を、これら日本の会計基準へ取り込む作業がなされました。